成長を促すためのフィードバックのやり方には、いくつかのコツがあります。
(1)やり方を押し付けない。事実を伝える。
よく「こうすべき」「自分ならこうやる(からお前もそうしろ)」といった、他人の価値観の押し付けになっているフィードバックを見かけますが、これは対象者の成長に直結しません。押し付け表現は相手の心理的な抵抗を誘発します(素直に聞けなくなってしまう)。また、極めて重要なこととして、価値観の押し付けはその場の対症療法に留まってしまいます。「なぜそうしたのか。本来どうすべきか」を自分で考える機会を奪い、自分の考えや行動のイケてない部分の根本的解決につながらなくなるのです。これでは真の成長は望めません。
ケンブリッジでは、フィードバックの際、対象者の仕事の成果や行動における「見たままの事実」を淡々と伝えます。「この資料の作り方では、会議の参加者にはうまく伝わらない」「タスクの優先順位がチームの認識とずれている」「話し方が回りくどくて、何を伝えたいのかわからない」「今、自分で何言ってるかわからなくなっているでしょう」など、かなりストレートに事実を伝えます。
そうすると、例えば会議の資料の話であれば、対象者も「この人は自分の人格を攻撃しているのではなく、資料を何とかしないと会議がヤバいと気にしているのだ」と受け止められます。目指すのは「叱る」という感情のこもった行為ではなく、淡々と事実を伝えることです。