ケンブリッジメルマガ『コンサルタントの秘伝帖』がお送りする「業務変革の王道メソッド」。
第1回は業務改善プロジェクトの超上流「コンセプト作り」の勘所をお届けします。
1. 業務改善でちゃぶ台返しを起こさせない進め方とは ケンブリッジでは、業務改善の計画作りを、必ず以下の順番で進めます。
- コンセプト作り(ConceptFraming) 約2週間 プロジェクトのゴールや狙い、目的を決める。なぜやるのか。
- 現状分析(Assessment) 約2~3ヶ月 調査、分析。現状を調べ、より良くすべき部分はどこかを分析する。
- 将来構想の策定(BussinessModel) 約2~3ヶ月 施策を出して将来の業務やシステムの姿を描く。
- 意思決定(Decision) 約2週間 やるか、やらないかを決定する。
通常は4~6か月ほどかけて計画作りを支援します。
お客さまによっては「プロジェクトのゴールは明らかだ」「将来のことを考えるのに現状分析は必要ない」と強い希望をいただき、途中を端折ってプロジェクトを進めてしまったこともありましたが、結局ほとんどのプロジェクトで端折った部分をやり直す結果になりました。
特にコンセプト作りはプロジェクト立ち上げ時の肝中の肝です。
経営、業務の現場、IT担当など、立場が違えば「わが社は業務改善をなんのためにやるのか」に対する回答は当然異なります。これではプロジェクトのどこかでちゃぶ台返しが起こっても不思議はありません。
また、改革方針を定めないまま、現状調査で現場ヒアリングをひたすら続けるケースがありますが、これでは後々大半の調査結果が無駄になったり、調査が目的化してしまったりする危険性も出てきます。
2. 「使えるゴール」作りで改革に魂を吹き込め コンセプト作りのフェーズで「振り返るとここが一番大事だった」と語るお客さまも多い「使えるゴール作り」。ケンブリッジ流のゴールの作り方には、3つのポイントがあります。
- プロジェクトで使える
- ステークホルダー全員が分かりやすい
- やらないこと、後でやることまで書いてある
「環境変化に柔軟に対応」「業務標準化」などをゴールに掲げることは一見キレイに見えますが、ほとんどスローガンと言っても良いでしょう。抽象的で具体的に何をどうすればいいのかわかりづらいからです。これではせっかく作っても何にも使えません。 プロジェクトでの意志決定に使えるゴール、例えば限られた予算やスケジュールの中で厳しい判断を迫られたときに立ち返ることのできる「生きたゴール」を作ることが重要です。 例えばある人事業務の変革プロジェクトでは、このようなゴールを設定しました。

(事例)人事業務改善プロジェクトのゴール
プロジェクトメンバーで議論した結果、本当に様々なことが施策として挙がってきました。何を優先するのか議論した結果、まず基盤となるシステムと業務を整備することを第1ゴールに据えました。その上に乗るさらなる付加価値を生み出す業務は、基盤が整ってから整備しようと決めました。こうした決定を分かりやすく構造化したのが上の図です。再優先でやること、後からやることが一目みて明確であるのもゴールの重要な要素なのです。これがあれば、「今話しているのは上の付加価値業務の部分だね。後回しでよいのだからまず、基盤作りに集中しよう!」などと判断のよりどころになります。
3. 誰もがありありと将来をイメージできるゴール例:ハブ&スポーク
ゴールは「いつまでに何を実現すればゴールを達成したと言えるのか?」「ゴールしたら我々はどのような状態になるのか?」がありありとイメージできるものでなければなりません。
両方が揃って、初めて人は動きだせるのです。 古河電工の人事業務改善プロジェクトでは、「xx年までに新システムを稼働させ業務効率を30%アップさせる」というゴールを定めました。そして「ゴールした後の状態」を「ハブ&スポーク」という概念で表現しました。新設するシェアードサービスセンターをハブとして業務が回っている状態を目指したのです。「ハブ&スポーク」を実現することでゴールを達成するというイメージです。

(事例)古河電工の人事BPRプロジェクトのコンセプト「ハブ&スポーク」
わかりやすいイメージで表したことで、「確かにハブ&スポークを実現すべきだ!」「ハブ&スポークなら、業務効率30%アップが実現できるかもしれない!」と共感してくれる社員の方が増え、プロジェクトの強力な推進力になりました。
このような「誰もがありありと将来をイメージできるゴール」を作るために、ケンブリッジではプロジェクトの初期段階でお客様と討議合宿しひざ詰めで議論するケースが多いです。
討議合宿の風景
次回のメルマガでは、「合宿議論を成功させる5つのポイント」をお届けします。お楽しみに!
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