コンサルタントの秘伝帖 「すぐできる、ずっと効く」 第7回
「会議はその場で振り返れ」
コンサルタントの秘伝帖
「すぐできる、ずっと効く」
 第7回
「会議はその場で振り返れ」

日報や週報を書く時に大切なのは、自分の仕事ぶりを振り返ることです。「振り返る」とは、具体的には「うまくいったこと、いかなかったこと、その原因の言語化」です。仕事ぶりを振り返ることで、次に同様の仕事をする際にもっとうまくできる可能性が高まりますし、周囲からのアドバイスもより具体的になります。今回は「それ、会議でもやりませんか?」というお話しです。
 
 
1. 会議の振り返りは終わる間際がおすすめ
 
これまで、さまざまな会議の進め方をお伝えしてきました。ひとつひとつをやりきるのは難しくないにせよ、いきなりすべてをうまくこなすのは至難の業です。最初のうちは「ゴールは達成したんだけど、時間通りに終わらなかった」「水向けはしたけれど、議論がうまくかみ合わなかった」などと肩を落としながら会議を終えることは多々あるはずです。
 
自分一人の仕事であれば「何がまずかったのだろう」と一人で振り返ることも大切ですが、会議は参加者と一緒に作るものです。であるならば、参加者と「会議の出来」を振り返ることは極めて重要になります。また、会議の振り返りは、会議が終わってしまう前に実施するべきです。その場で振り返らないと、参加者も言いたいことを忘れてしまうからです。例えば、次のようなやりとりをすることで、次の会議をより建設的にするためのアイデアが得られるならば、会議の終わりの5分を振り返りに充てるのは有効だと思いませんか?
 
参加者「議論の最中にゴールを忘れてしまった」
あなた「次回からゴールを書いた模造紙を持ってきます。貼って見ながら進めませんか」
 
参加者「あのとき、話をうまく切り込めなかった」
あなた「話をしたいときの合図を決めましょう」
 
参加者「時間を忘れて話し続け、タイムオーバーした」
あなた「タイムキーパーを置きましょう」
 
ケンブリッジでよく使われる「振り返り」スライド
 
 
2. 会議の振り返り方のコツ
 
とはいえ、いきなり「では会議を振り返りましょう」と切り出しても、参加者はとっさに何をすればよいのか、わからないものです。そこで、会議の振り返り方のコツを3つ、お伝えします。
 
まず「振り返り」の目的を参加者に理解していただくことが大切です。振り返りの目的は「会議の進め方に対する客観的なフィードバックを得ることで、次回からの会議を、より効率的で納得感のあるものにしていくこと」です。
 
2つ目は、「感想レベルでOK」にすることです。格好いいコメントや鋭い突込みなど、大仰なコメントは不要です。コメントの目安は、1人20秒くらいです。以下のようなカジュアルな感想だけでも、次の会議につながる糧になります。
  • 「話しやすかった」
  • 「ゴールを達成できてよかった」
  • 「ちょっとグダグダになってしまった」
  • 「まだモヤモヤしてる」
 
3つ目は、良かった点と改善点をあげてもらうことです。「何かダメ出ししなきゃ」という空気になってしまうと、発言する側もされる側も気が滅入ってしまいますよね。
 
 
振り返りを定型化する工夫は各社各様です。会議の最後に「振り返りをやりましょう」といきなり切り出しても他の参加者がポカンとするだけだと思うので、事前に、このメルマガを社内に共有し、「今度の会議でやってみませんか」と連絡してみるのはどうでしょうか。また、弊社がプロジェクトをご一緒したお客様の中には、社内の各会議室に「振り返りシート」を置いているところもあります。みなさんなりのやり方で、会社や部署に振り返りを浸透させてみてください。
 
お客様の会議室に掲示される「ふりかえるシート」