コンサルタントの秘伝帖 「すぐできる、ずっと効く」 第8回
「4段サイクルで会議の作法を定着させよう」
コンサルタントの秘伝帖
「すぐできる、ずっと効く」
 第8回
「4段サイクルで会議の作法を定着させよう」

 
これまで7回に渡って、そのまま実践すれば会議が劇的に変わる作法(知識とやり方)をお伝えしてきました。しかし、旧来のやり方で実施してきた会議に新しい作法を定着させるのは、なかなか骨が折れます。ケンブリッジでは、会議に限らず、新しい知識や業務を社内に定着させるには以下の図のような「定着の4段サイクル」が必要と考えています。
 
 
では、ひとつずつ見ていきましょう。
 
 
1.必要性を実感する
 
何はともあれ、新しい知識や業務の必要性を実感しないと、何も始まりません。会議で言えば「確かにこの進め方は有効だ。是非とも使ってみたい」「使えば我が社のグダグダ会議は変わるはずだ」というくらい、その人の価値観が変わるほどの手ごたえや実感がないと、新しいものを真剣に受け入れようとは思わないものです。
 
例えば、これまでお伝えしてきた作法を応用すると、「毎回、ゴール・アジェンダ・所要時間を設定する」ことで、会議が時間内に実のある結果を生み、さらに「振り返り」で、実行したこととその効果を強調すれば、他の参加者が「毎回、ゴール・アジェンダ・所要時間を設定する」と「振り返りをする」の必要性を実感します。
 
 
2.やり方を知る
 
必要性を実感できたら、人は「なぜできるのか。どうやるのか」を知りたくなるものです。これが逆だとうまくいきません。「いつ使えるかわからない知識や資料」をとりあえず貯め込んでも、いざ必要という時には、さっと出せないものです。人は必要に迫られない限り、学ばないし、変化を起こそうとしないのです。
例えば、ケンブリッジではプロジェクト内でお客様向けにファシリテーション研修をすることが多いですが、まず弊社のコンサルタントが様々な会議をファシリテートし、その必要性が十分プロジェクト内に沁み渡ってから「種明かし」として実施するようにしています。
 
 
3.失敗できる環境を作る
 
やり方を学んだ人向けに、実地訓練できる環境を作りましょう。そして、その環境は「失敗できる」ことが大切です。
どれだけ必要性を実感し、やり方を知っても、実際にやれるようになるまでには、
  1. 「やってみたがうまくいかない」
  2. 「なぜうまくいかないのか」
  3. 「こうやればうまくいくはず」
  4. 「やってみたらうまくいった」
のプロセスが必要です。チャレンジして失敗しても大きな問題にならない、またリカバリー可能なミーティングを選んで、お試ししてみましょう。最初は、部署内のカジュアルな振り返り、業務時間外の勉強会などがよいでしょう。
 
 
4.やってみる
 
1~3がそろって、ようやく「やってみる」にたどり着けます。それくらい、会社で何か新しいことを始めたり、変化を起こしたりするのは大変なのです。そしてやってみると「やってよかった」「継続してやったほうがいい」と思えるようになり、必要性をますます実感できるようになります。「やってみた」後には、必ず振り返りをしましょう。「やってみてよかったこと」「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」を丁寧に書き出せば、必要性の裏付けになります。
 
 
こうして定着の4段サイクルは1段目の「必要性を実感する」に戻ります。2巡目には、また新たな知識や業務を追加いきましょう。実地での実感を伴った成功体験・失敗体験を積んでいますので、1巡目に比べればスムーズに、またさらに多くの人たちを巻き込んでサイクルは回っていくはずです。
 
ぜひ、知識や作法だけを伝えて「あとはよろしく」ではなく、4段サイクルで社内にしっかり定着化させてみてください。