コンサルタントの秘伝帖 「すぐできる、ずっと効く」 第15回
「資料作成効率化のカギは20%ルールと7step」
 コンサルタントの秘伝帖 
「すぐできる、ずっと効く」 
第15回
 
「資料作成効率化のカギは
20%ルールと7step」
 
 
「強いチームを維持し続けるためのコツ」シリーズ、第5回のテーマは「資料作成」です。
 
月曜日の朝に重要な会議があります。金曜日の夕方に、月曜日の会議で使う資料を「完璧に仕上げました!」と自信満々で上司に提出したら「これでは到底使い物にならない」と突き返されてしまいました。こうなると、休日返上で資料を直すか、資料なしで重要な会議に臨むか、会議を延期するか・・・どれも取りたくない選択肢です。
 
このように、資料をガッツリ作り込んだのに、依頼者の意図と異なっており泣く泣く作り直すことになった、時間も当初の見積もりの倍かかってしまった、そんな経験はありませんか? いったいどうすればよかったのか? ケンブリッジにはこうした事態を避けるために「20%ルール」があります。
 

1. 「20%ルール」とはなにか

 
20%ルールとは「やるべき仕事の20%ができたかな」と思ったら、仕事を依頼した人にそれを見せる、というルールです。資料作成における20%、というのは、まだ資料を本格的に作り始める前、ぼんやりと資料の全体像が見えた状態を指します(具体的な状態は後述します)。
もし金曜日の夕方に資料を完成させたい(100%までもっていきたい)場合、少なくとも3日前、つまり火曜日に20%の状態でレビューを受けるのです。その段階で、資料の全体像が依頼者の想定とずれていることが分かっても、まだ3日残っているので、十分軌道修正が可能となります。
 
 
「なんだ、単に早く見せるだけか」と思われるかもしれませんが、意外とできない人が多い20%ルール。そもそも効率的に資料を作るプロセスを知らないことも要因のひとつのようです。
 
 
2. 具体的にどういう状態が20%か
 
「資料を作って」と言われてすぐにアプリケーションを立ち上げる人がいます。ちょっとテキストを書いたりそれっぽい図表を作ったりしているだけで、気づいたら、なんとなく見栄えのよい「資料っぽいもの」ができて、満足してしまうのです。
しかしこれはコンセプトも設計図もなしでいきなりビルを建てるようなものです。資料は相手に何かを伝えたいから作るものです。まず「伝えたいこと」を決める必要があります。伝えたい事が伝わるなら体裁は問いません。逆に伝えたいことが伝わらないならどんなカッコいい資料を作っても意味がありません。「誰に何を伝えたいのか」「その資料を受け取った人にどうなってほしいのか」をじっくり考えて言語化しなければなりません。パソコンとにらめっこするのはそれからです。
 
ケンブリッジが考える資料作成は以下の7stepです。
 
 
20%とは、ここでいうところのStep3が終わった状態です。「伝えたいメッセージはこれ。こんな感じのことを話して、最終的に参加者が〇〇な状態になったら成功」と紙に書きつけて、人に説明できるようになった状態を指します。ここまでを依頼者と合意形成できれば、あとはそれらをストーリーに仕立てて、スライドに表現していけばよいのです。
 
 
定例会議のように資料のフォーマットが決まっているものならいざしらず、プロジェクトなど何が正解か誰も知らないようなケースにおいては、作る資料のひとつひとつがオーダーメイドになります。資料を依頼する側も必ずしも答えを持っているわけではありませんから、20%ルールを活用し、依頼者と議論しながらよりよい資料に仕立てていくことをお勧めします。