医師は、患者からいきなり「頭痛薬をください」と要求されても、そう簡単には薬を処方しませんよね。頭痛に至った経緯を紐解き、頭痛を引き起こした根っこの問題に手を打たなければ、ともすると患者を死なせることにもなりかねないからです。
例えば「XXという機能が欲しい」という「要求」に対し、なぜこの要求を出すに至ったか、その経緯を深掘りしないまま、単純にその機能を作って終わりにしてしまうと、後になって根本的な問題に手を打ててなかったことが判明したりします。
これは実際にあった例ですが、ある経理部員から「請求書の印刷時にプレビュー機能が欲しい」という要求がありました。プレビュー機能を作るだけなら大した工数ではない、と情報システム部がすぐにその機能の実装を進めようとしたところで、コンサルタントが「そもそも、なぜプレビュー機能が必要なのですか?」と質問しました。すると、その経理部員が「請求書の金額が間違っていることが多々あるため、今は印刷してから全件チェックしている。だから印刷前にプレビューできる機能が欲しい」と答えました。
このやりとりから「なるほど、プレビュー機能、必要ですね」としてはいけないことがお分かりでしょうか。それよりも先に、金額間違いを是正する仕組みを導入しなければ、会社として根本的な課題解決にはなりません。
このように、「何にどう」困っているのか、「なぜ」困っているのか、をきちんとセットでクリアにすることで、その課題に対する具体的なアクションを打つことができます。
Bad システムの使い勝手が悪い。
Good システムが今の業務に合っておらず、大量の手作業が発生しており、残業が増えている。
Next Action 手作業の内容を洗い出す、など、システムと業務のGapを調査しよう。
Bad 請求書のプレビュー機能が欲しい。
Good 請求書の金額間違いが多く、いちいち請求書を印刷してチェックしている。プレビュー機能が欲しい。
Next Action そもそも請求書の金額間違いを是正しよう。
まとめると、きちんと取扱える課題の書き方は以下のとおりです。【 】の部分が、きちんと埋めなければならない内容です。
「【原因】により【現象】となっており、その結果、【実害】に困っている」