コンサルタントの秘伝帖 「すぐできる、ずっと効く」 第9回
「対話の相手がカチンと来ないための5つの振る舞い」
コンサルタントの秘伝帖
「すぐできる、ずっと効く」
第9回
「対話の相手がカチンと来ないための
5つの振る舞い」
 
 
メルマガ第5回で、会議の参加者をリスペクトすれば、効果的な会議になることをお伝えしました。もちろん、この考え方は1on1の対話においても同様です。今回は、対話の相手をリスペクトする、とは、具体的にどう振る舞えばよいのか、をお伝えします。以下の5つの振る舞いが十分にできなければ、対話の相手がカチンと来てしまうこともありますので、ご注意ください。
 
 
1. 対話の場の目的を説明する
 
もし、何も理由なしに「お金を貸してほしい」と言われたら、どうしますか?「なぜ必要?」と問いかけますよね。
それと同じことが対話にも言えます。もし目的を説明しないまま対話を始めた場合、相手は、その対話がどんな価値を見出す場なのか、わからないまま、時間を消費することになります。これはかなり苦痛なものです。「相手は貴重な時間を割いて対話に参加している」という意識を持ち、対話の場の目的をきちんと説明しましょう。
 
 
2. 「なぜそう考えたのか」を伝える
 
自分の考えや主張を表明する場合、なぜそう考えたのか、をきちんと語ることが大切です。考えや主張というものは、相手が「確かに!」「それ大事!」と思えるような裏付けがないと、相手に沁みません。考えを述べる場合には、「なぜならば」と続けることを習慣づけましょう。「なぜならば」を完璧に言語化できなくとも、「まだうまくまとまらないんですが」と前置きをしてでも伝えようと試みましょう。相手が「それってこういうこと?」と助け舟を出してくれることもあります。
「いいから俺の言うことを黙って聞け」が有効なケースがあることも否定しませんが、対話においてはレアです。
 
 
3. 「異なる価値観」を理解しようと務める
 
2.の裏返しです。相手が自分と異なる考え方や価値観を持っていることを了解し、それを理解しようと務める(「努める」のではなく)ことが大切です。これが相手へのリスペクトの根幹だといっても過言ではないでしょう。まず、先入観や雑念を捨て、相手の発言を傾聴し、自分の中に相手の考えを沁みさせましょう。それでも相手の話や考えが分からなければ、「なぜそう考えたのか?」「xxのケースはどう考えているのか?」と聞き返せばよいでしょう。
相手と世代や立場が異なる場合は要注意です。話す側も、自分の人生経験や価値観を相手に押し付けていないかを気にしながら、対話に臨みましょう。
 
 
 
4. 質問にストレートに答える
 
会話はキャッチボールです。相手が「Why?」と問えば「なぜならば」と、「What?」と問えば「それは」と、まず結論をストレートに、簡潔に答えましょう。これができないと相手は「自分の質問をはぐらかされた」「何か都合の悪いことでもあるのだろうか」と不信感や猜疑心を持ってしまいます。そうなると、生産的な対話にはなりません。
 
分かっていてもなかなかできない「ストレートに答える」。いくつかコツがあります。
 
  1. 接頭に「結論から言うと」をつけてから回答する。
  2. どうしてもストレートに答えられない場合はその旨を素直に表明してから回答を始める。場合によっては、相手も質問の仕方を変えてくれることもあります。
  3.  回答を始めてから「あぁ自分グダグダ言い始めたな」と感じた瞬間、「すみません、もう1回」と宣言し、ストレートに言い直す。
 
 
5. 決めつけない
 
相手が何者なのか、どういう経歴の持ち主なのか、何に興味があるのか、などの正確な情報を持たないまま、「あなたは~~だから」や「~~を知らないでしょ?」などと決めつけたような言い方は禁物です。もし発言者が先入観を持たず決めつける意図を持ってなかったとしても、相手が発言者の言葉の端々に「(どうせ)」を感じてしまったら、健全な意思疎通はできなくなります。
 
 
ぜひ上記の5つのふるまいを実践して、立場や世代に拠らず、お互いが気持ちよい対話を楽しんでください。