コンサルタントの秘伝帖 「業務変革の王道メソッド」 第9回
「抵抗を見逃さない仕組みをプロジェクトに組み込め」
コンサルタントの秘伝帖
「業務変革の王道メソッド」
 第9回
「抵抗を見逃さない仕組みを
 プロジェクトに組み込め」
 
計画策定期に見つけた「隠れた抵抗」をケアする4つのコツ、後編です。前回のメルマガでは、すぐにできる「振る舞い」として「反論せずに、まず共感する」「説得せず、真摯に共有する」の2つをお伝えしました。今回は、抵抗をケアするために、あるいはそもそも抵抗が生まれないように、プロジェクトに組み込んでおくべき「仕掛け」の話です。
 

1. 決定事項と経緯を資料に残す

日々の議論で少しずつ積みあがっていく決定事項とその経緯、きちんと資料に残していますか? プロジェクトにおいて決めるべきこととは、例えば以下のようなものです。
 
プロジェクトは、進むたびに関係者が増えていきます。後から参加してくる人たちは、これまでの決定事項と経緯を知らないわけですから、必ず「そもそもこのプロジェクトは何のためにやるのか?」「私たちの業務は楽になるのか?」といった素朴な疑問を投げかけます。これに簡潔かつストレートに答えないと、抵抗の芽が生まれます。そのためにも、決定事項と経緯をきちんと資料に残しておくことです。

これは骨が折れる作業です。もしチーム内で「なぜそうまでして資料を残すのか。プロジェクトの本質ではないことに労力を割きたくない」と言われたら、以下のように答えましょう。

(1) 伝聞によるニュアンスの変化を防ぐためである
資料がなく毎回口頭で説明していると、伝え手によってニュアンスが変わってしまったり、受け取る側も自分なりの解釈をしてしまったりします。間違った情報で誰かが誤解してしまうと、そこから抵抗が生まれます。抵抗に対応する労力は、資料作りの比ではないでしょう。関係者全員が情報を正しく認識するためにも、資料化は必要です。

(2) 対面で説明できない人もケアできるためである
直接説明できない場所にいる人にも、資料があれば、いったん目を通してもらい、わからないところをリモートでフォローすることができます。こうしたケースでは、資料が独り歩きしてもよいように作っておく必要があります。作り方のコツは、まず、誤解なく、正しく伝わるようにすること。例えば、決まったことや決まっていないことがパッと見てわかるようにしましょう。そして、同じような資料を複数作らないこと。時折、報告相手に忖度するあまり似たような資料が複数できるケースを目にしますが、これは混乱のもとです。最新版をひとつだけ管理するようにしましょう。
 

2. コミュニケーションプランを立てる

プロジェクトの誰から誰へ、いつ、何の相談をしたり、報告したりするのか。それをどういう手段で行うのか、きちんと決めていますか? 様々な関係者からの「これを議論したい」「これが気になる」を先回りするようなコミュニケーションを設計することが、そもそも抵抗を生まないための最大の秘訣です。ケンブリッジでは、これを「コミュニケーションプラン」と呼んでいます。
 
例えば、以下のようなコミュニケーションが考えられます。

・プロジェクトチームがユーザー組織の現場リーダーへ、プロジェクトの懸念とリスクを確認する(週次/対面)
・プロジェクトチームからユーザー組織の全部門長へ、検討状況を報告する(隔週/メール)
・プロジェクトチームから経営トップへ、進捗とリスクを報告する(月次/対面)
・経営トップから全社へ、プロジェクトの意義や進捗を共有する(月次/朝礼)
 
必要なのは、プロジェクトチームが考えていることを、真摯に、過不足なく、しかるべきタイミングで、関係者全員に共有することです。


以上、隠れた抵抗をケアするためのコツを4つ、お届けしました。プロジェクトには様々な人が参加するので、中にはソリの合わない人もいるかもしれません。それでも、一定量のコミュニケーションを積み上げると、スルッと理解しあえるタイミングが訪れます。こちらの言うことを一発で理解してもらえて、惜しまず協力してくれることはまずありえない、という前提に立ち、コミュニケーションプランを策定し、決まったことや経緯を資料化し、こちらの考えを関係者全員に、繰り返し伝えていきましょう。