2. 「納得いかない」を解消する
抵抗の真意の多くは、プロジェクトの何かに「納得いかない」ことに帰結します。納得のいかなさは、大別すると「アウトプットやロジックに納得いかない」ケースと「そもそもプロジェクトの進め方そのものに納得がいかない」ケースのいずれかに分類されます。ひとつずつ対応方法を見ていきましょう。
(1) アウトプットやロジックに納得いかない
これまでのメルマガでお伝えしたとおり、プロジェクトの立ち上げ期~計画策定期は「コンセプト作り」→「現状分析」→「課題深掘り」→「施策策定」の順に進みます。このあとは「施策効果測定」を実施しオーナーに施策実行のGoサインをもらいます。
抵抗している人は、これらのプロセスでまとめたアウトプット・結果、あるいはそれらを導き出したロジックや因果関係のどこかにひっかかっている可能性があります。それを、プロセスを遡って明らかにしていきます。
例えば、あるプロジェクトで「ペーパーレス化」という施策が打ち出されたとします。ある人が抵抗の弁を述べたため、真意を確認すると「ペーパーレス化だけが施策ではない。そもそもペーパーレスありきなのは納得できない」ということでした。おそらくこの人は、深掘った課題からペーパーレス施策へ行きついた検討ロジックに納得していないのです。であれば、課題一覧に立ち返り、改めて施策のアイデアを洗い出すところから仕切り直して、その人と一緒に、他にもっとクールな施策がないか、検討すればいいのです。
「ペーパーレス化しても現状はよくならない」という人には、現状分析の結果を共有し、ペーパーレス化しない場合の問題を定量的に伝えたり、他に何か見つけられていない現実がないか確認してもらったりすればよいでしょう。
このように、プロジェクトのプロセスを遡りひっかかっている部分を特定し、そこでの議論の結果やアウトプットを見せながら議論すれば、錯綜せずに合意形成することができます。
(2) プロジェクトの進め方そのものに納得がいかない
抵抗の真意を確認した結果「課題分析はなぜなぜ分析でやるべきだ」「人事部に話を聞かないなんてバカげてる」「なぜ全工場で現状調査をしないのか」など、プロジェクトのこれまでの成果ではなく進め方に納得いかないパターンがあります。
こういう抵抗に「いやこの進め方が正しいんです」と伝えても埒があきませんから、こちらの進め方の意図を説明したうえで、極力相手の真意を汲むのがよいでしょう。
とはいえ、明らかにプロジェクトの期限や要員を超過しかねない進め方を提示されるケースもあります。例えば「全工場で現状調査すべき」がコストオーバーであれば、期限と要員を伝えたうえで、どうすれば抜け漏れない現状調査ができるのか、一緒に考えてみてもらえばいいでしょう。「確かに厳しそう」と、もともと考えていた範囲に落ち着くケースもありますし、場合によっては「電話かWebアンケートで、この3つの質問だけでも聞いたがいい。なぜならば・・・」といった建設的なアドバイスをもらえることもあります。
いずれの対応方法も、「推進者vs抵抗者」の構図から脱却し、ともにプロジェクトの難題に立ち向かう協働の関係をいかに築けるか、がポイントとなります。抵抗が表に出た瞬間、こちらの主張を通すのではなく、まずは共感し、丁寧に抵抗と向き合ってください。