団体スポーツにおけるタイムアウトの効果としては、以下が上げられるようです。
・チームが作戦通りに動けていないので、作戦を再確認する
・チームへ作戦の変更を伝える
・調子が出ていない選手の状況を確認する
・選手を交代する
総じて「チームに何らかの介入が必要な時」、特に「悪い流れを断ち切りたい時」にタイムアウトを宣言しているのがお分かりでしょうか。
ビジネスのチームにおいても、同じような状況がよくあります。最もそうした状況が顕著に表れるのは会議のシーンでしょう。ケンブリッジでは、会議の場で、議論に介入したり、悪い流れを断ち切ったりしたい時に、タイムアウトを宣言することにしています。代表的な例をご紹介しましょう。
(1)議論が堂々巡りになっている
Aさんが意見を言い、それに対してBさんが違う意見を言う。一通り議論した後、またAさんが同じ意見を言う。それがひたすら繰り返される。こういう時「議論が堂々巡りになっていますね」と水を差します。それ以上の堂々巡りを防止するためには、Aさんの意見とBさんの意見を、ホワイトボードなど参加者が見えるところに書き「お二人の意見はこれで合ってますか?」と確認するのが効果的です。
(2)演説状態である
Aさんが長々と話してしまい、参加者が「で、この人、何が言いたいんだろう?」と戸惑い始めたら、「すみません」と介入し、「一言でまとめるとどんな感じでしょうか?」と丁寧に申し入れます。相手が目上の方でなかなか切り出しにくいケースが多ければ、グラウンド・ルールを設けましょう。例えば「話はXX分以内にまとめてしゃべろう」などが有効です。時間の長さは、経験上、業界や企業風土によって異なるように感じます。ちなみにニュースの世界には、視聴者は70秒しか集中してニュースを見られない、という考えから、ニュースキャスターが原稿を読み上げる時間を原則1分10秒に、長くても1分30秒に抑えているそうです。演説判定の目安として使えそうです。
(3)議論が脱線する
議論がヒートアップすると、徐々にその日のテーマから話が脱線していくことがあります。本当は業務上の課題について議論したいのに、会社の企業風土への不満の話になったり、チームの懇親会のお店を決めたいのに、いつの間にか近所のコンビニの品ぞろえの話になったり。しかし議論の時間は有限です。脱線してしまうと、本来決めたかったことが決まらなくなる場合もあります。そういう時は「今、私たちは〇〇について議論していますが、少々脱線していますね」と宣言します。脱線した内容も重要な場合は「その話、パーキング・ロットに入れておきます」と参加者に伝え、書き留めておきます。パーキング・ロットとは文字通り「駐車場」のことです。いったん脇に置いておくが、後ほど改めてディスカッションします、という意思表示をするのです。
タイムアウト・ルールはいわば「生産性を常に意識する目」である、とも言えます。タイムアウト・ルールを実践できれば、個人やチームの生産性を高く維持し続けることができるでしょう。