将来業務の記述範囲については、改革のコンセプトや範囲、施策の方向性などで、ある程度決まってきます。また、現状業務を踏襲する部分があったとしても、その部分を省略してはいけません。なぜなら、将来業務に関するドキュメントを一度きちんと作れば、後続のフェーズで、導入を決めたシステムのカスタマイズ箇所の確認、テストケースの作成、業務マニュアルの作成などに活用できるからです。
将来業務の記述粒度は「ユーザー同士でシステム機能の要否を議論できる程度」「今後、選定するパートナーが読んで『あぁこういう業務をするんだな』『この業務でシステムを使いたい/使わないんだな』と理解できる程度」に留めましょう。ここで大幅に時間を取ってしまうと、本丸である「どんなシステムを作るか/作らないか」の議論ができなくなります。特にシステムを使わない業務については、時間を使いすぎないよう注意が必要です。例えば、ドライバーが顧客への商品の配送ルートを平日と休日で変えていたとしても、それがシステムの機能に関係なければ、シンプルに「顧客へ商品を配送する」とする、など、チームであらかじめ粒度を合意してから記述に取り掛かりましょう。
記述の漏れを防ぐコツとしては、現状業務のヒアリングの時と同様、大きく業務のパターン(例えば、販売チャネルや請求方法など)をざっくり定義してから詳細を記述すること、年間のイベントカレンダーを使い業務の流れを追っていくことなどがあげられます。