3つの視点の組み合わせにより、優先度が高い機能と低い機能が明らかになったのがお分かりでしょうか。
このプロセスに正解はありません。
機能要求定義に関わったメンバーがひざを突き合わせ、優先順位を決めるための基準とレイティングをきちんと定義し、粛々と仕分けを実施していきましょう。仕分けを実施した結果、あまりにも「やること」が増えてしまい、もう一度レイティングを見直す、といったケースもあります。だから正解がないのです。
議論のプロセスを丁寧に記録し、納得感の醸成と振り返りを繰り返しながら進めることが極めて重要です。
「なぜそう仕分けたのか」を記録に残していないと、そのプロジェクトに新しいステークホルダーが参加したときに納得のいく説明ができませんし、プロジェクト終了後に機能を拡張(「そのうちやること」に該当)していく際、その妥当性を証明することができません。
また、プロジェクトにはイレギュラーケースがつきものです。例えば評価の結果、機能Aは「M/L/H」で「そのうちやること」になってしまったとします。しかしメンバーの一人が「他の機能はよいが、機能Aだけは『やること』にすべき。なぜならば・・・」と説明し、他のメンバーがそれに納得したならば、機能Aを例外的に「やること」にすることもあります。こういうケースは必ず起こりますし、その検討のプロセスを記録しておかないと、後から「なぜ機能Aだけが例外的に採用されたのか」といった質問に即座に答えられずクレームにも発展しかねません(もちろん、例外が増えるのであれば、そもそもレーティングを見直すべきです)。
企業のシステムはこの先何年にもわたって使うものです。
今は作らないけれども来期以降に作るものも、機能要求を決めるのに必要なメンバーが揃っているこのタイミングに議論し尽くしたほうが効率的に決まっていますし、予算取得の際の強力なエビデンスになります。ぜひ丁寧に機能をリストアップし、それらの優先順位を決め、「そのうちやること」についても、プロジェクト後に丁寧にメンテナンスしていくことをお勧めします。